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Briefing
メルセデスベンツは、彼らの新電気自動車EQCモデルのキャンペーンの際に、CMキャンペーンの開始直後にリリースとなるThe Weekndの新しいアルバムの中のシングル楽曲と合わせて、The Weeknd主演のブランドCMを打つことにしました。The Weekndはこのキャンペーンのクリエイティブディレクターとしてクレジットされ、EQCモデルの発売とシングル、ミュージックビデオのリリースを念頭に、Blinding Lightsという楽曲を書き下ろしました。
Universal Music Groupとブランドは、アーティストとのコラボレーション、曲の制作、録音の権利を担当し、弊社Tracks&Fieldsは著作権をクリアするためにこのキャンペーンのチームに参加しました。
Execution
楽曲:ブランド使用のための音楽の権利は、いくつかの異なる種類の権利交渉を必要とし、このプロジェクトは、考慮する必要がある権利の範囲を網羅します。
タレント:The Weeknd。彼は、パフォーマンスの詳細、撮影スケジュール、およびその他コマーシャル制作とそのワークフローへの参加に関連するすべての事項への契約を含む俳優としてコマーシャルへ出演しました。

テスティモニアル/名前、イメージ、肖像権:人気アーティストはインフルエンサーであると同時にブランドです。テスティモニアルは自発的な参加であるものの、名前、イメージ、肖像権はライセンスが必要になります。

作品のプレイスメント/スポンサーシップ:キャンペーンの1か月後にリリースされたBlinding Lightsの公式ミュージックビデオで、The Weekndはメルセデスベンツの車を使用しています。

音楽制作:The Weekndはクリエイティブディレクターとしてクレジットされ、音楽はメルセデスベンツとのコラボレーションの中で制作されました。

マスター使用権: Blinding Lightsの録音を使用する権利はレコードレーベルが所有しています。

カバーアートの使用:コマーシャルでカバーアートを使用するには、レコードレーベルからの許可が必要です。この場合、追加料金を請求される場合とされない場合があります。ほとんどの自動車CMは、車両のダッシュボードを見せるオリジナルのカバーアートを使用することが多いです。今回、シングルとアルバムのカバーアートには登場していないが、The Weekndはコマーシャル内で「Hey Mercedes、play Blinding Lights」と言及しています。

著作権使用:Abel Tesfaye(The Weeknd)、Max Martin、Oscar Holter、Larry Steinbachek、Jason Quennevilleによって作成された楽曲と歌詞を使用する権利をさします。Kobalt Music Group、Warner Chappell、Universal Publishing Music Groupが権利を所有しています。

音楽出版社: 作曲家と共同作家が新しい曲を書くとき、または作曲家がブランドまたは映像作品のために委託された作品を制作するときには交渉には入りません。音楽出版社に登録された作品を使用する場合は、その作曲家を独占的に代表するのが音楽出版社となります。この場合は、著作権の100%の共有値に基づいて各出版社と交渉する必要があります。例えば、もし権利の5%を占める音楽出版社がより高い支払いまたは制限を要求する場合、彼らの支払いの比例配分を増やすか、他のすべての音楽出版社の条件も変更するなどして調整が必要となります。
人格権:この権利は通常あまり議論されません。人格権は、誤使用されたと感じられる作品への使用から著作権利者を保護するためのものです。したがって、著作権契約には、クリエイティブコンセプトの承認条項または最終的な編集への承認も含まれます。法律では通常、出演アーティストにこの権利を付与していませんが、いくつかの裁判ではアーティストが同様の保護を受けることを認めているケースもあります。
組合費:米国と英国は、セッションミュージシャンとシンガーが参加したレコーディングを使用する際に、追加料金を要求する強力な組合が存在します。今日では、主要な音楽レーベルのほとんどのグローバルオフィスでは、ライセンスする場合は、AFM(アメリカの音楽家 )、SAG-AFTRA(アメリカの歌手)またはMusicians Union(イギリスの音楽家)に支払う責任があるという条項が含まれています。
パフォーマンスと放送権:メディアを通して放送されると、PRS、GEMA、BMI、ASCAP、SACEM、JASRACなどの各権利団体を通じて権利所有者に追加料金が支払われます。ほとんどの場合、支払いはテレビ局などのメディア所有者の責任であるが、ライセンスを与えられた団体は、著作権情報をメディアに適切に提出する必要があります。
有名作品が存在する前の著作権処理:Blinding Lightsは非常に珍しいケースの一つでした。キャンペーンが開始された段階で、この楽曲が2019年の最大のヒット曲の1つになることは明白であったものの、権利のクリアランス時には、その曲はまだ存在していなかったために、私たちも出版社も楽曲を聞いたことがなかったからです。また、作曲家間でどの様に著作権の分配がされるかも明確ではありませんでした。さらに、キャンペーン全体におけるThe Weekndの役割を考えると、商業的にリリースされた楽曲と委託された楽曲としての特徴があり、交渉とクリアランスにおけるその意味を完全に理解することが重要でした。
誰がどれだけのトラックを所有するかは明確ではなかったので、交渉を始めるためにまず推測する必要がありました。The Weeknd自身が作家であり、著名なヒットメーカーのMax Martinが共同作家として参加していため、これら2つの権利を同時にクリアすることにしました。これら2組の権利を合わせると、このプロセスで最大のシェアと権限が得られることが明白でした。そして関係者すべてのシェアを合わせて100%となることをベースに交渉を進めました。
その交渉を表にまとめたものが下記です:

この手法により、短期間に予算内で著作権を100%クリアすることを可能にしました。その数ヶ月後、著作権が分割が決定され、出版社がそれぞれがどれだけライセンスできるかが明白になった時点で、契約書は起草され、クライアントは、著作権が存在する前の未来のヒットシングルの音楽著作権使用の全費用を把握することができました。
Results
The WeekndのBlinding Lightsは、メルセデスベンツのキャンペーンで初めてリリースされ、最終的には世界でNo.1ヒットを記録しました。
キャンペーンがリリースされたとき、多くのメディアがユニークなパートナーシップについて報道しました。
キャンペーンは、The One ShowのBest Use Of Musicのショートリストに入り、Art Directors Clubでブロンズを獲得しました。
Learnings
音楽の権利クリアランスに早期に着手することで、総予算に対する気持ちの余裕ができます。重要な情報が初期段階では不足していることが多いのも事実です。通常、キャンペーンやクリエイティブの詳細に当てはまることですが、実際に楽曲を制作した人などの重要な情報がまだ存在しない場合でも、他のすべてについて交渉することは可能です。
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