
Brand Territory Awards
Germany 
Briefing
ポルシェ初の全電気スポーツカーであるTaycan発売の際、クリエイティブエージェンシーのGrabarz & Partnerは、クラシックモデルのポルシェが保管されている倉庫で、カーステレオから流れてくる音楽にのってポルシェが躍動する様子を表現する、秀逸で音楽が要となる脚本を展開させました。 この作品は、新車が解禁となるトレードショーやオンラインで使用される予定でした。
ここでのミュージックスーパーバイザーとしての私たちTracks & Fieldsのミッションは、このポルシェの歴代のデザインと同じくらい、象徴的なクラシックロックのギターリフを見つけ出すことでした。
Execution
有名な楽曲を使用する脚本は非常に人気があり効果的ですが、同時に常にリスクが伴います。 有名な楽曲の権利は、一般的に世間の認知度を意識しているような著名なアーティストによって所有され、洗練されたメジャーレーベルや資産の収益を最大化することに熟練した音楽出版社によって管理されています。
また、地上波では放送されないWEB限定の作品は、昨今の音楽ライセンスにおける大きなチャレンジの1つです。 WEBを中心としたデジタルコミュニケーションは、様々な場所に情報が拡散しやすいので、ブランドは地上波のTVコマーシャルよりも予算をかけないことが一般的です。一方、音楽の権利所有者は、通常、メディアの範囲、地域、期間に応じて使用料の価格を設定し、ブランドに曲の使用を許可するための最低料金を提示します。 また、事実上すべての自動車ブランドは、一般的なプロジェクトにおけるざっくりとした価格概要を持っていることが多く、個々の作品への楽曲使用への価格を必要以上に引き上げてしまうことも多いです。
最初の楽曲の提案には、私たちの経験上、それまでコマーシャルでの音楽の使用を全く承認したことがない、もしくは承認することが稀なアーティストも含まれていました。 本来ならライセンスへのリクエストはすぐに拒否されますが、私たちの経験上に置いても非常にクリエイティブな作品のコンセプトと商品発表だったので、本来ならばクリアできないであろう楽曲のライセンスを得るための交渉に進み、私たちが考えていたほとんどの楽曲案について、一歩進んだ交渉をすることができました。
この作品を制作するにあたって、有名なギターリフが必要だということが明らかであり、クライアントの予算内でアイコニックな楽曲のライセンスを確実にすることにブレはありませんでした。さらに、著作権のみのライセンスを取得して楽曲のカバーを制作するという方法も、レコーディングのライセンスのコストを節約する一般的な方法ではありますが、今回のヴィンテージのオリジナルを見せるというメッセージには合いません。ポルシェは’本物’を望んでいました。
私たちはエージェンシーとクライアントがこの作品に100%フィットすると同意するであろう、十分な代替案を用意する必要があると判断しました。そしてクライアントが社内で精査しランキングをつけ、多くの可能性のある選択肢の中から6つのトラックが選ばれました。
一般的な価格では非常にコストがかかるため、経験と実用性に基づいて、4つの異なる代替の価格形式で権利マトリクスを作成しました。 次に、撮影前にすべてのトラックについてアーティストの承認を求め、ライセンス可能な楽曲を事前に明確に把握し、計画通りにアイデアを実行できるよう準備しました。最終的にクライアントはThe KinksのYou Really Got Meを使用することに決めました。
Results
このキャンペーンはNew York FestivalのBest Use Of Music部門でブロンズを受賞しました。
Learnings
ブランド作品に有名な楽曲を使用することは常にユニークな課題をもたらします。 私たちが特定した3つの成功要因は、①早期段階での行動②合意を得た代替案の準備③選択的な価格形式を検討し、必要なだけの金額で収まるようにしたことでした。
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